上咽頭炎

知っていますか?謎の病気“上咽頭炎”

鼻とのどの間が重い感じがして、粘液がからみついて出せない、しかも鼻水は前には出ず、のどに降りるのみで、ときに咳がでる。そんな状態が続くとき上咽頭炎を疑います。

●原因

上咽頭は鼻の一番奥の、のどとの境目にあり、風邪の後や体調不良のときによく炎症を起こします。ここが悪くなると、上記の症状以外にも、頭が重い、肩凝り、耳閉感、耳鳴り,めまいなど意外な症状も出やすいので、患者さんは症状のデパートみたいになることもあります。 どうもこの場所には自律神経系のツボがあるらしく(はっきり解明はされていませんが)、そのため多彩な症状が現れるといわれています。

●治療法

粘膜の炎症や感染、粘液の産生を抑える治療(副鼻腔炎の治療に近い)でよくなる方もいますが、なかには全く治る気配のない人も多く、こういう方には上咽頭に直接薬を塗ったり、鼻うがいをしてもらったり、派生する様々な神経症状に対する治療をしたりで、なかなか忙しい病気です。 私の経験では、いろいろ試した中でも、鼻うがいが最も効果的と感じています。 アズレン系の青いうがい薬を鼻に入れてはのどから出すという原始的な方法ですが、物理的に粘液を洗い流すと同時に、薬効成分で粘膜炎症を抑えることもできて一石二鳥です。実はこの病気、治らなくて悩んでいるうちに何となく良くなってしまうこともあり、不思議この上もありません。自律神経系がからむのでそうなるのでしょうか。未だに謎の病気の一つです。

鼻血

鼻血はどうしたらいいの?

●原因

鼻血の90%は鼻の真ん中の鼻中隔という壁の前方の血管から出ます。ここはもともと血管が豊富な場所です。この部分がアレルギーや感染、炎症で荒れると出血しやすくなります。残る10%の出血は鼻の奥の方の血管からで、高血圧の高齢者に多くみられます。

●治療法

さて大量の鼻血が出たらどうしましょう?
まず、ティッシュペーパーを直径2センチほどの塊にして鼻に入れ、鼻の横のいわゆる小鼻の一番広いところ(底辺)を左右から大きくつまみます。しっかりつまんで、頭をやや高くしてソファなどに腰掛けそのまま約10分みます。その上で鼻全体を冷やせばなお良いでしょう。それで止まれば後でゆっくり耳鼻科に行けば最終処置をしてくれます。
止まらない場合は奥の方からの出血の場合が多いので、すぐに最寄りの耳鼻科に行ってください。 まれに血液の病気で血がとまらなくなることもあります。30分以上だらだら続く出血、けがや打ち身のあとの腫れがひかないなどの症状があれば血液検査をする必要があります。また鼻の中の腫瘍でも頻繁に出血がみられます。

すべてに共通した再出血の予防法は、過酷な運動や熱い風呂を避ける、温度差を避ける、鼻をいじらない、強く鼻をかまない、辛いものを食べないなどです。要は血管が傷ついたり、膨れたりしないようにすることです。 落ち着いたところで、アレルギー性鼻炎や鼻かぜ、鼻の入り口の炎症、高血圧などの原因の病気を治すことも重要です。

長引く空咳

季節の変わり目や風邪の後などに空咳が続く人がいます。ふつうの風邪では咳はまず2週間以内です。それ以上続く咳は肺や気管支に問題のある場合もあり、ときに内科で呼吸器系の検査(レントゲン、痰の検査など)を受けていただくことも必要です。 さて、肺や気管支系に問題がない場合、いよいよどうにもならず、耳鼻咽喉科に来られるケースが最近増えています。ふつうの咳止めではなかなか治らないのです。

●原因

最近ではこれらの長引く空咳は、ぜんそくやアレルギーに近い病態でおこることが分かっています。“咳ぜんそく”とか“アトピー咳嗽”と呼ばれています。

●治療法

この二つの病気はとても良く似ていますが治療法は若干異なり、咳ぜんそくには気管支拡張薬が、アトピー咳嗽では抗アレルギー薬がよく効きます。内科でいろいろ調べて治療しても良くならない空咳は上の2つの病気を念頭に、耳鼻咽喉科で治療を受けられると良いでしょう。

しつこい痰がらみの咳

肺や気管支に問題のない場合で、痰がからむしつこい咳でお困りの方は、鼻に問題がないかどうかを調べる必要があります。

●原因

慢性副鼻腔炎(いわゆる昔の蓄膿症)や上咽頭炎(鼻とのどの間の粘膜の炎症)、慢性鼻炎などで鼻の奥からのどにかけて粘液がおりてくると、これが刺激になって痰がらみの咳がおこるのです。

●治療法

鼻や上咽頭の炎症や感染をおさえ、粘液を排除する治療で良くなります。